室谷総合法律事務所 Lawメールニュースレター(第81号)
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★★室谷総合法律事務所 Lawメールニュースレター(第81号)★★
★★2025.8.8 ★★ https://murotani-law.jp ★★https://media-law.jp
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室谷総合法律事務所Lawメールニュースレター運営事務局です。
晩夏の候、ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
毎日のように観測史上最高気温を更新したというニュースが流れ、日本全国で猛暑
日が続いています。来週は夏休みを取られる方も多いかと存じます。心身ともに十分
リラックスして長い残暑に備えていただきたいと思います。
それでは、第81号も法律関連情報や弁護士の日常、考えていることなどをお届け
します。皆様の毎日に少しでもお役に立てれば幸いです。
是非、ご覧ください!
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◆ 1.室谷総合法律事務所とは・・・
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「全面的に信頼できる法律事務所であること」
「専門的かつ総合的な法律事務所であること」
「社会正義を重んじる法律事務所であること」
をモットーにしている法律事務所です。現在、弁護士4名、事務局2名体制です。
取扱業務は企業法務(大企業から中小企業まで企業の規模も幅広く、業務内容も
幅広く扱っております)、一般民事(交通事故、相続、破産、家事事件等)、刑事、
プロボノ案件と幅広く取り扱っており、上記モットーを実践することを心がけてお
ります。
場所は大阪・関西・東京だけに限らず、全国対応しております。
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◆ 2.お知らせ
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◎今月の法人・事業者様向けの無料相談会は9月9日(火)です。10時~17
時の間で30分間無料にてご相談いただけます。この機会にぜひ雇用・解雇トラ
ブル、契約書法務、事業承継問題、知的財産、売掛金の回収、危機管理対策・ク
レーマー対応等をお気軽にご相談ください。
法人・事業者様向けの無料相談会は完全予約制です。必要事項(御芳名、貴社名
・部署名、連絡先・電話番号、メールアドレス、ご希望の日程・時間(第1候補
から第3候補までご記載ください)、ご相談内容について)をご記入の上、メー
ルアドレスに送信していただくか、お電話にてご予約ください。
※無料相談会のご利用は一企業1回とさせていただいております。
◎2025年8月28日に公益財団法人大阪産業局、大阪府主催の2025デザイ
ン・オープン・カレッジフォーラム「大阪から世界へ!ライセンス活用で広がる
ビジネスチャンス」で代表弁護士室谷光一郎がモデレータを務めさせていただき
ます。
リンク:2025デザイン・オープン・カレッジ フォーラム
リンク:<フォーラム>大阪から世界へ!ライセンス活用で広がるビジネスチャンス
◎2025年8月22日にSRアップ21大阪会主催のSRアップ21大阪会・兵
庫会令和7年度第2回勉強会において、「懲戒処分の臨界点について-私的な非違
法行為などに関する考察-」と題するセミナーの講師を代表弁護士室谷光一郎と弁
護士梅川颯太が務めさせていただきます。
◎弊所は8月12日から15日を夏季休業とさせていただきます。
18日より通常どおり執務させていただきます。
◎2025年8月2日にライブ配信総合エンターテイメント企業 株式会社コエヲ
トドケル主催の、配信者のためのオンライン法務セミナー「法的知識やリスク管
理の基本」で代表弁護士室谷光一郎が講師を務めさせていただきました。
リンク:第1回オンライン法務セミナー
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◆ 3.法律・裁判例情報
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【同一労働同一賃金原則に関する判決(京都地判令和7年2月13日)】
1 はじめに
本年2月13日、京都地裁において、「同一労働同一賃金」原則の適用に関して
判断を示した判決が出されました。この判決は、賃金の中核をなす基本給の格差に
ついて、はじめて違法性を認定したものです。
2 「同一労働同一賃金」の原則とは
「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事や同程度の価値の労働に対しては同じ賃金
等の待遇を与えなければならないという考え方で、同一企業・団体における正規労
働者と非正規労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すための概念です。非正規
労働者の待遇改善を目的とした法律としては、短時間・有期雇用労働法8条や派遣
法30条の3があります。
3 「同一労働同一賃金」についての判断基準
これまでにも、「同一労働同一賃金」の判断枠組みや適用について示した判例は
複数あります。長澤運輸事件(最判平成30年6月1日)では、有期労働契約者と
無期労働契約者の賃金の相違が不合理か否かを判断するにあたっては、「両者の賃
金の総額を比較することのみによるのではなく、当該賃金項目の趣旨を個別に考慮
すべき」であると述べ、個別の労働条件ごとに不合理性を判断するものとしていま
す。また、名古屋自動車学校事件(最判令和2年10月13日)は、基本給等の相
違に関し、「当該使用者における基本給及び賞与の性質やこれらを支給することと
された目的を踏まえて同条所定の諸事情を考慮することにより」不合理か否かを検
討すべきと示しています。今回の京都地裁の判決も、これまでの判例の考え方を受
け継いだものです。
厚労省は、同一労働同一賃金ガイドライン(同一労働同一賃金ガイドライン)を
策定し、どのような待遇差が不合理か考え方や具体例を示しています。
4 事案の概要
本件は、被告が運営する高校の常勤講師であった原告が、長期間勤務した後無期
労働契約に転換したと同時に、被告から事務職員への配置転換命令を受けたという
事案です。原告は、有期雇用の常勤講師の賃金が、無期雇用である専任教員と比較
して不合理に低いと主張し、賃金差額の損害賠償などを請求しました。
5 裁判所の判断(同一労働同一賃金に関する部分)
裁判所は、専任教員と常勤講師の賃金差の合理性について、「賃金の性質及び目
的」「業務の内容及び業務に伴う責任の程度」「職務内容及び配置の変更の範囲」
の観点から検討し、被告が原告に専任教員より低額の賃金しか支払わなかったこと
は不合理で、不法行為が成立すると結論づけました。
(1)賃金の性質及び目的
被告の高校の専任教員の給与は、年齢給に職位・職階級を加算した額とされ、年
齢給は毎年昇給が予定されているのに対し、常勤講師は、勤務年数に応じた賃金額
が定められているものの、5年を超えると昇給しない仕組みになっていました。つ
まり、専任教員の年齢給は、年齢によって定められる部分に加え、職務遂行能力に
応じた職能給及び継続的な勤務等に対する功労報酬等の複合的な性質がある一方で、
常勤講師の賃金は、年齢によって定められる性質は小さく、短期雇用であることを
前提に、5年を限度とした職能給・勤続給としての性質があるといえます。
しかし、被告の高校の就業規則では、常勤講師の契約更新を5年に制限するわけ
ではなく、逆に、制度上5年を超える場合が想定されており、実際に、原告は契約
更新を繰り返すことで常勤講師としての勤務が5年を超えて無期労働契約に転換し
ていました。
裁判所は、実際には長期間の継続雇用が常態化しているにもかかわらず、常勤講
師の賃金は、5年を限度とした短期契約を前提とした賃金体系になっており、賃金
の性質及び支給目的からして合理的とは言い難いと判断しました。
(2)業務の内容・責任の程度
原告が在任した時期には、常勤講師である原告と管理職でない専任教員との間に、
職務の内容につき明らかな差異は認められませんでした。
(3)職務内容・配置の変更の範囲
就業規則では業務の都合により年度の途中においても職務の変更を命ずることが
あると規定されており、規則の適用に専任教員と常勤講師の違いは設けられていな
いこと、年度中に被告の高校から系列校へ移った常勤講師も存在すること、常勤講
師も長期的に勤務する実態があったことなどから、実質的には、常勤講師であって
も配置転換があるといい得る状況で、常勤講師と専任教員との間で職務内容及び配
置の変更の範囲において有意な差があるとはいえないと判断されました。
(4)結論
原告の賃金と、原告と同年齢・同期の専任教員の賃金を比較すると、6年目以降
は常勤講師の賃金は昇給しないため賃金差が広がっていくところ、原告は5年を超
えて勤務しており、専任教員に支給される賃金の性質及び支給目的が妥当する上、
専任教員との間には、業務内容・責任の程度、職務内容・配置の変更の範囲におい
て有意な違いは認められないことからすれば、賃金差は不合理であり、パート・有
期法8条(改正前の時期については旧労働契約法20条)に違反し不法行為が成立
すると判断されました。
6 まとめ
本件では、正社員は長期雇用の人材確保を目的として賃金体系を設定しているか
ら有期労働者と賃金体系が異なっていても合理性があるなどと単純に結論付けるの
ではなく、働き方の実態を丁寧に分析し、長期間にわたって勤務している有期労働
者については正社員の賃金の性質・支給目的が妥当すると認定しています。
また、無期転換後はパート・有期法8条の適用はないものの、不合理な賃金差が
あることに変わりはないことから、無期転換後の期間についても不法行為の成立を
認めた点も意義があります。
弊所では、労働問題に対して裁判例や法改正を踏まえてしっかりと対応しており
ますので、お気軽にご相談ください。
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◆ 4.独り言
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ストレッチにはまっています。
体力のなさを自覚するほど運動不足が深刻になってきたので、約半年ぶりにスポ
ーツジム通いを再開し、初めてパーソナルトレーニングを受けてみました。トレー
ニングをしていてうまく筋肉に負荷がかかっていないと感じ、トレーナーさんに相
談したのですが、トレーニングのフォームに問題があるのではなく、普段の姿勢が
悪いことによって特定の箇所の筋肉が固まるなどして体の動きが悪くなっていると
指摘され、目から鱗でした。
私の場合、日々のデスクワークで猫背や反り腰の状態になり、そこから波及して
肩甲骨の可動域が狭くなったり前腿が張ったりしているようで、その箇所をストレ
ッチポールでごりごりほぐしていくと、背筋が伸びて立っているだけでもかなり体
が楽になりました。そして、十分にストレッチをした後でトレーニングをすると、
しっかり腹筋に力が入り、以前より負荷を重くしてもスムーズに体を動かせるよう
になりました。
いままで運動はほぼ未経験のまま生きてきましたが、何事も理論を学んで実践す
ると効果が上がるのだなとあらためて知りました。これからしっかり習慣化して良
い体を作っていきたいと思います(山崎)。
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◆ 5.最後に
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さて、室谷総合法律事務所Lawメールニュースレター第81号はいかがでしたで
しょうか。
今回の「法律・裁判例情報」では、【同一労働同一賃金原則に関する判決(京都
地判令和7年2月13日)】をお伝えさせていただきました。
弊所Lawメールニュースレターやコラムでも度々、取り上げさせていただいてお
ります「同一労働同一賃金」の概念については、正規労働者と非正規労働者間の不
合理な待遇差の解消を目指すための考え方の一つとして、今後も様々な裁判例が示
されることと存じます。
弊所では、「同一労働同一賃金」をはじめ、様々な労働問題についてのご相談も
多く受けており、最新の法改正、ガイドラインや裁判例を踏まえた研修・講演講師
等多数お受けしております。気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
これからも弊所Lawメールニュースレターで、法律問題や時事問題を身近で分か
りやすく感じていただければ幸いです。
★法律相談、講演・研修等の講師ご依頼、各種法律監修等につきましては、下記ア
ドレスか電話にてご連絡ください。
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TEL.06-6535-7340
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