室谷総合法律事務所 Lawメールニュースレター(第59号)

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★★室谷総合法律事務所 Lawメールニュースレター(第59号)★★
★★2023.9.22 ★★ https://murotani-law.jp ★★​​​​​​​https://media-law.jp

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室谷総合法律事務所Lawメールニュースレター運営事務局です。
 初秋の候、ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
 秋祭りに運動会、秋のイベントが盛りだくさんのこの時期ですが、気温は真夏のまま。
暑い日が続いています。暦に惑わされることなく熱中症に気を付けて秋のイベントを
楽しんでいただきたいと思います。
 それでは、第59号も法律関連情報や弁護士の日常、考えていることなどをお届け
します。皆様の毎日に少しでもお役に立てれば幸いです。
 是非、ご覧ください!

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◆ 1.室谷総合法律事務所とは・・・
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「全面的に信頼できる法律事務所であること」
「専門的かつ総合的な法律事務所であること」
「社会正義を重んじる法律事務所であること」
をモットーにしている法律事務所です。現在、弁護士3名、事務局2名体制です。
 取扱業務は企業法務(大企業から中小企業まで企業の規模も幅広く、業務内容も
幅広く扱っております)、一般民事(交通事故、相続、破産、家事事件等)、刑事、
プロボノ案件と幅広く取り扱っており、上記モットーを実践することを心がけてお
ります。
 場所は大阪・関西・東京だけに限らず、全国対応しております。

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◆ 2.お知らせ
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◎次回の法人・事業者様向けの無料相談会は10月3日(火)です。
 10時~17時の間で30分間無料にてご相談いただけます。この機会にぜひ雇用
 ・解雇トラブル、契約書法務、事業承継問題、知的財産、売掛金の回収、危機管理
 対策・クレーマー対応等をお気軽にご相談ください。
 法人・事業者様向けの無料相談会は完全予約制です。必要事項(御芳名、貴社名・
 部署名、連絡先・電話番号、メールアドレス、ご希望の日程・時間(第1候補から
 第3候補までご記載ください)、ご相談内容について)をご記入の上、メールアド
 レスに送信していただくか、お電話にてご予約ください。
 ※無料相談会のご利用は一企業1回とさせていただいております。

◎令和5年9月5日、弊所主催セミナー「LGBTQ労務・対応に関する実務」を開
 催することができました。不慣れなところも多々ありましたが、直接会場にて参加
 者の皆様にお会いすることができ、大変有意義な時間を過ごせました。ありがとう
 ございました。
 また、会場開催のリアルセミナーを予定しております。詳細が決まり次第、報告さ
 せていただきます。

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◆ 3.法律・裁判例情報
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【正職員と定年後再雇用職員との待遇差に関する最高裁判決】
 
 本年7月20日、最高裁は、正職員(無期雇用)と定年後再雇用職員(有期雇用)
との間における基本給及び賞与に関する待遇差が同一労働同一賃金を規定した労働
契約法(以下「法」といいます)第20条に違反するとして争われていた裁判の判
決を出しました。基本給や賞与は雇用契約において一般に中核となる労働の対価で
あり重要な労働条件であること、定年後再雇用労働者に対しては定年前の労働条件
と大きな相違を設定する賃金体系を採る企業が少なくないことから、最高裁の判断
が注目されていました。
 同一労働同一賃金を規定する法第20条は、正社員と非正規雇用の労働条件の相
違について、業務内容、責任、配置変更範囲、その他の事情の4要素を考慮して不
合理であってはならないと規定しています。その上で、原審(名古屋高裁令和4年
3月25日判決)は、定年後再雇用職員である被告らについて、「定年退職の前後
を通じて、主任の役職を退任したことを除き、業務の内容及び当該業務に伴う責任
の程度並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲に相違がなかったにもかかわら
ず」、基本給及び賞与のいずれにおいても定年退職時の正職員としてのそれらを大
きく下回っており、「このような帰結は、労使自治が反映された結果でなく、労働
者の生活保障の観点からも看過し難いことなどに鑑み」て、基本給に関しては、原
告ら嘱託職員の基本給が正職員定年退職時の基本給の60%を下回る限度で、賞与
に関しては、基本給を正職員定年退職時の60%の金額を乗じた結果を下回る限度
で法第20条の不合理性が認められると判断した第一審判決(名古屋地裁令和2年
10月28日判決)を維持しました。
 一方、最高裁は、(1)基本給について、正職員の基本給の性質を検討した結果、
勤続給としての性質のみならず、職務の内容に応じて額が定められる職務給として
の性質や職務遂行能力に応じて額が定められる職能給としての性質を有するものと
みる余地もあるとした上で、嘱託職員は、役職に就くことが想定されていないこと
に加え、その基本給の支給基準が正職員の基本給とは異なること、勤続年数に応じ
て増額されることもなかったこと等から、正職員の基本給とは異なる性質や支給の
目的を有するものとみるべきであるとし、原審について、基本給の年功的性格以外
の性質の有無及び内容並びに支給の目的に関する検討が不十分である旨指摘しまし
た。加えて、労使交渉に関する事情を法20条にいう「その他の事情」として考慮
するにあたっては、労働条件に係る合意の有無や内容といった労使交渉の結果のみ
ならず、その具体的な経緯をも勘案すべきであるところ、原審は、労使交渉の結果
に着目するにとどまり、労働条件の見直しの要求等に対する被告の回答やこれに対
する労働組合等の反応の有無及び内容といった具体的な経緯を勘案していないとし
て、正職員と嘱託職員との間の労働条件の相違について、その一部が労働契約法
20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断には、同条の解釈
適用を誤った違法があると判断しました。
 また、(2)賞与について、定年後再雇用職員に支給された嘱託職員一時金は、
正職員の賞与基準は異なるものの、同時期に支給されていたものであり、正職員の
賞与に代替するものと位置付けられていたということができるところ、原審は、賞
与及び嘱託職員一時金の性質及び支給の目的を何ら検討していないと指摘し、労働
条件の相違の一部が法20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の
判断には、同条の解釈適用を誤った違法があると判断しました。
 本判例は、正職員と定年後再雇用職員との基本給及び賞与にかかる待遇差に関し、
原審判決は法第20条の解釈を誤った違法があると判断しましたが、その理由は基
本給及び賞与の性質と目的、労使交渉の具体的経緯の検討が不十分だったことにあ
ります。そのため、これらの待遇差が違法となること自体を否定したものではあり
ません。どのような性質及び目的等の相違であれば、どの程度の待遇差が許容され
るのか、具体的事情に即して検討する必要があることを示しています。これにより、
企業においては、本判例の示した前記検討基準を前提に、今後の裁判の動向等を踏
まえて自社の具体的な労働条件を検討する必要が出てくるかと存じます。
 弊所では、労働問題に対して裁判例や法改正を踏まえてしっかりと対応して参り
ますので、お気軽にご相談ください。

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◆ 4.独り言
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 私の地元鹿児島は、鳥刺しが日常的に食されています。どのスーパーでも精肉コ
ーナーの一角を鳥刺しが占め、小さいころから父のおつまみとして夜の食卓に並ん
でいたこともあり、身近な食べ物でした。そのため、進学にあたり関西に出てきて
スーパーでは買えないことを知り、驚きました。調べてみると、鹿児島ではその食
文化を守るために独自の基準に基づいて殺菌処理をしており、食あたりの危険性が
低いため、スーパーでも販売しているそうです。関西でも気軽に食べられたならな
ぁと思いながら、最近は近所で見つけた美味しい鴨刺しのお店によく通っています
(堀ノ内)。

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◆ 5.最後に
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 さて、室谷総合法律事務所Lawメールニュースレター第59号はいかがでしたで
しょうか。
 今回の「法律・裁判例情報」では正職員と定年後再雇用職員との待遇差に関する
最高裁判決についてお伝えさせていただきました。
 定年後の職員を再雇用するにあたっては、基本給及び賞与の性質について、正職
員とどの程度の待遇差が許容されるのか、具体的事情に即して検討する必要があり
ます。当事務所では、各企業様に応じた具体的な労働条件の検討から、裁判例、法
改正をふまえた労働問題に関するご相談や研修・講演講師等も多数お受けしており
ます。気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
 これからも弊所Lawメールニュースレターで、法律問題や時事問題を身近で分か
りやすく感じていただければ幸いです。
 今後も、少なくとも毎月1回、皆様に有益な情報を配信できるように頑張ります!
郵送版ニュースレターについても年1回、引き続き、行う予定ですので、郵送版ニ
ュースレターもよろしくお願い致します。なお、郵送版ニュースレターは弊所のホ
ームページにてご覧いただくことも可能です。ご興味がおありでしたら是非ご覧く
ださい。
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