室谷総合法律事務所 Lawメールニュースレター(第82号)

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★★室谷総合法律事務所 Lawメールニュースレター(第82号)★★
★★2025.9.30 ★★ https://murotani-law.jp ★★​​​​​​​https://media-law.jp

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室谷総合法律事務所Lawメールニュースレター運営事務局です。
 初秋の候、ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
 暦の上ではとうに秋を迎えていますが、夏さながらの暑さが続いています。
 日本各地で大雨災害が発生し、気候変動が暑さだけでなく様々な影響を及ぼしてい
ることが分かります。ひとりひとりができることから温暖化対策を考えていかなけれ
ばならないと改めて感じました。
 それでは、第82号も法律関連情報や弁護士の日常、考えていることなどをお届け
します。皆様の毎日に少しでもお役に立てれば幸いです。
 是非、ご覧ください!

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◆ 1.室谷総合法律事務所とは・・・
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「全面的に信頼できる法律事務所であること」
「専門的かつ総合的な法律事務所であること」
「社会正義を重んじる法律事務所であること」
をモットーにしている法律事務所です。現在、弁護士4名、事務局2名体制です。
 取扱業務は企業法務(大企業から中小企業まで企業の規模も幅広く、業務内容も
幅広く扱っております)、一般民事(交通事故、相続、破産、家事事件等)、刑事、
プロボノ案件と幅広く取り扱っており、上記モットーを実践することを心がけてお
ります。
 場所は大阪・関西・東京だけに限らず、全国対応しております。

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◆ 2.お知らせ
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◎代表弁護士室谷光一郎と弁護士梅川颯太が、2025年11月19日(水)夜
 10時スタートのABEMA無料配信「スキャンダルイブ(全6話配信)」
 (主演:柴咲コウさん、川口春奈さん)の法律監修を務めさせていただきます。
 リンク:スキャンダルイブ(ABEMA無料配信)

◎今月の法人・事業者様向けの無料相談会は10月7日(火)です。10時~17
 時の間で30分間無料にてご相談いただけます。この機会にぜひ雇用・解雇トラ
 ブル、契約書法務、事業承継問題、知的財産、売掛金の回収、危機管理対策・ク
 レーマー対応等をお気軽にご相談ください。
 法人・事業者様向けの無料相談会は完全予約制です。必要事項(御芳名、貴社名
 ・部署名、連絡先・電話番号、メールアドレス、ご希望の日程・時間(第1候補
 から第3候補までご記載ください)、ご相談内容について)をご記入の上、メー
 ルアドレスに送信していただくか、お電話にてご予約ください。
 ※無料相談会のご利用は一企業1回とさせていただいております。

◎2025年9月20日に行われました日本産業保健学会第5階学術大会・シンポ
 ジウム「支援職(士業)がハラスメントにあったらどうする?支援職の支援体制
 の構築と課題」で代表弁護士室谷光一郎が演者として登壇いたしました。
 リンク:日本産業保健学会第5階学術大会・シンポ  ジウム

◎2025年8月28日に公益財団法人大阪産業局、大阪府主催の2025デザイ
 ン・オープン・カレッジフォーラム「大阪から世界へ!ライセンス活用で広がる
 ビジネスチャンス」で代表弁護士室谷光一郎がモデレータを務めさせていただき
 ました。
 リンク:2025デザイン・オープン・カレッジ フォーラム
 リンク:<フォーラム>大阪から世界へ!ライセンス活用で広がるビジネスチャンス

◎2025年8月22日にSRアップ21大阪会主催のSRアップ21大阪会・兵
 庫会令和7年度第2回勉強会において、「懲戒処分の臨界点について-私的な非違
 法行為などに関する考察-」と題するセミナーの講師を代表弁護士室谷光一郎と弁
 護士梅川颯太が務めさせていただきました。

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◆ 3.法律・裁判例情報
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【長時間労働による過労自殺をめぐる最高裁判決(最判令和7年3月7日)について】

1 はじめに
 従業員のメンタルヘルス対策が経営課題となる中、今回は、長時間労働による過
労自殺をめぐる最高裁判決(最判令和7年3月7日)から、企業に求められる安全
配慮義務のポイントを解説します。本件は公務員の事案ですが、民間企業にも通じ
る重要な示唆を含んでおります。

2 事案の概要
 本件は、警察官が過重な業務により精神疾患を発症し自殺したことについて、遺
族が県に損害賠償を求めた事案です。
 亡くなった警部補は、交番長の通常業務に加え、窃盗事件の捜査、新人指導、海
外研修準備、異動の引継ぎといった複数の業務を兼任していました。
 結果、自殺直前の時間外勤務は月112時間を超え、14日間の連続勤務を2回
行うなど勤務は過酷を極めました。約3か月前のストレス診断で最低評価「E」を
上司に伝えていましたが、具体的な措置は講じられていませんでした。

3 裁判所の判断
 本件は、第一審では遺族の請求が一部認められましたが、第二審では、「公務災
害の認定基準にいう『質的に過重な業務』に該当しない」ことなどを理由に、業務
と自殺との因果関係が否定され、遺族の請求は棄却されていました。
 これに対し、最高裁判所は高裁判決を破棄し、県の責任を認める判断を下しまし
た。その判断のポイントは以下の通りです。
(1)複合的な業務による「過重性」の認定
 最高裁は、個々の業務の負荷だけでなく、それらが複合的に重なっていた実態を
重視しました。警部補が「自殺直前の時期に行っていた業務の量は、従前から行っ
ていた業務に相当程度の負荷を伴う複数の業務が加わることによって大きく増加し
ていた」と指摘しています。
 さらに、勤務態様についても「自殺直前の1か月間に、僅か1日の休みを挟んで
14日間もの連続勤務を2回にわたり行っており」「各当直明けの非番の日にも相
当の時間の勤務を行った」ことなどから、警部補に「相当程度の疲労や心理的負荷
等を蓄積させるものであった」と評価し、全体として精神疾患を発症させうる「過
重な業務」であったと認定しました。
(2)労災認定基準は絶対ではない
 高裁が業務の過重性を否定した大きな理由の一つが、公務災害の認定基準(労働
者の労災認定基準に相当)に形式的に当てはまらないという点でした。
 しかしながら、最高裁は、この判断を明確に否定し、「認定基準において示され
ている知見をしん酌し得るものではあるが、認定基準が示す要件に該当しないこと
をもって直ちに上記損害賠償責任が否定されるものではない」と判示しました。時
間外労働の時間数といった形式的な基準だけでなく、勤務の態様や業務内容、それ
らが心身に与えた負荷などを総合的に考慮し、実質的に判断すべきであるとの考え
方を示しました。
(3)上司の「予見可能性」を肯定
 最高裁は、上司らが勤務日誌や時間外勤務実績報告書によって警部補の過酷な勤
務状況を具体的に把握できたことや、ストレス診断の結果が最低評価であったこと
を直接聞いていたことなどを踏まえ、「A警部補の上司らは、A警部補が客観的に
みて精神疾患の発症をもたらし得るような過重な業務に従事していることを認識す
ることができたというべきである」としました。
 そして、「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなど
して、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、その心身の健康を損う危険」があ
ることは広く知られていたとして、「A警部補の業務を適切に調整するなど、その
負担を軽減するための措置を講じなければ、A警部補がその心身の健康を損う事態
となり、精神疾患を発症して自殺するに至る可能性があることを認識することがで
きたというべきである」と判断しています。
 そのうえで、具体的な措置を講じなかったことは、労働者の心身の健康を守るべ
き安全配慮義務に違反すると結論付けました。

4 企業実務への示唆
 本判決は、企業の人事労務管理に以下の重要な示唆を含んでおります。
(1)実労働時間の客観的把握と多角的評価
 PCログ等で実労働時間を客観的に把握し、時間数だけでなく、連続勤務や業務
負荷の急増など多角的な視点から過重性を評価する必要があります。
(2)業務の「質的負荷」への目配り
 時間外の「量」だけでなく、不慣れな業務や複数業務の兼務といった業務の「質」
が与える心理的負荷にも注意が必要です。管理職は面談等で負担感を把握することが
求められます。
(3)ストレスチェック結果の活用と事後措置の徹底
 ストレスチェックの結果を活かし、高ストレス者には産業医面談を実施し、業務軽
減等の実効性ある措置を講じなければなりません。不調のサインの軽視は、重大なリ
スクとなり得ます。
(4)管理職への継続的な教育
 部下の健康配慮は管理職の責務であり、長時間労働の放置は会社全体の責任問題と
なり得ます。安全配慮義務や部下の不調への対応スキルについて、継続的な教育が不
可欠となってきます。

5 最後に
 過重労働の放置は重大な経営リスクであり、働き方改革関連法により企業の義務は
一層厳格化しています。本判決を機に、法改正への対応を含めた労務管理体制を再点
検し、従業員が安心して働ける職場環境の構築にお役立てください。
 弊所では、人事労務の問題に対して最新の裁判例や法改正等の動向を踏まえて対応
して参りますので、お気軽にご相談ください。

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◆ 4.独り言
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 当事務所に入所して、早くも一年が経ちました。月日の流れの速さを実感してお
ります。
 今年も夏は音楽と共に過ごす機会に恵まれました。8月には恒例のライジング・
サン・ロックフェスティバル(北海道石狩市)に参加してきました。今回は少し趣
向を変え、東舞鶴から小樽までフェリーで渡り、余市の散策やビアガーデンを楽し
むなど、道中も含めて北の大地を満喫しました。私自身の二日間のフェスティバル
は、お目当てのバンド(八十八ヶ所巡礼)の演奏で締めくくり、非常に充実した時
間となりました。
 9月の連休も、初日にヤンマースタジアム長居でのONE OK ROCKのライブ、続
く2日間はロック・イン・ジャパン・フェスティバル(千葉市)へと足を運び、刺
激的な時間を過ごしました。残暑は厳しかったですが、それもまた夏の野外イベン
トの醍醐味だと感じています。
 今月末は趣を変え、藤田真央さんのピアノでラフマニノフのピアノ協奏曲第2番
を聴きに行く予定です。このように公私にわたり音楽に触れる中で、現在はMPA
(日本音楽出版社協会)の音楽著作権管理者養成講座も受講しております。趣味と
実益を兼ね、専門性をより一層深めていきたいと考えております(梅川)。

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◆ 5.最後に
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 さて、室谷総合法律事務所Lawメールニュースレター第82号はいかがでしたで
しょうか。
 今回の「法律・裁判例情報」では、【長時間労働による過労自殺をめぐる最高裁
判決(最判令和7年3月7日)について】をお伝えさせていただきました。
 従業員が精神疾患の発症をもたらし得るような過重な業務に従事することのない
安心して働ける労務管理体制を整えることが、企業の務めでもあります。
 弊所では、人事労務の問題についてのご相談も多く受けており、最新の法改正、
裁判例を踏まえた研修・講演講師等多数お受けしております。気になることがあり
ましたらお気軽にご相談ください。
 これからも弊所Lawメールニュースレターで、法律問題や時事問題を身近で分か
りやすく感じていただければ幸いです。

★法律相談、講演・研修等の講師ご依頼、各種法律監修等につきましては、下記ア
ドレスか電話にてご連絡ください。
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